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令和2年度 校長談話

「体制、態勢、耐性」

例年、4月の校長談話は新年度を迎えての抱負や国家試験結果、卒業生との交流などの話題が多くなっています。しかし、今年度は特筆すべき状況があります。新型コロナウィルス感染拡大による影響です。2月の看護師国家試験は何とか予定通り行われましたが、その後の卒業式や実習など実施するのかどうか、対応をどうすべきか、といったことを毎日のように検討しました。卒業式は、来賓や在校生の出席、歌や一人ひとりへの卒業証書授与をやめ、予定していた日に時間短縮して行いました。卒業生が実習や国家試験の勉強の中、一所懸命準備をしてくれていた謝恩会も中止しました。とても残念でしたが、卒業式終了後に学生たちの発案でミニ謝恩会を開催してくれました。短い時間でしたが、とても嬉しく思いました。そして、在校生は、予定していた実習などを延期し、ひと足早く春季休暇に入りました。
日々、様々な情報が入り、状況の変化も激しい毎日です。その中で、校長として、皆と話し合いながら最終判断をし、「態勢」を整えるようにしています。学生たちの貴重な時間と経験をやみくもに奪うことのないように、「どのような方法ならば可能か?」、「そもそもの目的に戻れば違う方法はないか?」など、柔軟に考えることを心がけています。この動きのひとつひとつが学校としての「体制」を見直すことにもなっていると思います。「ピンチがチャンス」とよく言われますが、まさにその通りだと考え、この際、様々な「当たり前」や「ルーティン」を見直すことが出来ればと思います。学生たちがいない時間で、長年気になりながらも取り組むことが出来なかったことにも取り組めています。
教職員全員が、同じように様々なことに取り組んでくれています。学校全体として、組織としての「ストレス耐性」があることを誇りに思っています。有事の時こそ、少し距離を置き、自分自身や組織を客観的に見つめることのできる「ゆとり」を持たなければ…と思います。なかなか、そう出来ない自分も受け入れつつ、仲間と共に日々の小さな出来事に喜びや楽しみを感じられる人でありたいと思います。
多くの方が辛い思いをされていることも現実ですので、1日も早い収束を願い、私自身も出来ることをしっかりと行い、感染予防に心がけます。



              令和2年4月 公立西知多看護専門学校
                     校長 竹内(宮原)晴子


「はじめての経験」


この1か月、実に多くの初めての経験をしています。これは、私だけでなく、世界全体の現実だと思います。それでも、太陽は昇り、雨は降り、風は吹く、夜になり、月が出たり、星が出たり、見えなかったり…時間は過ぎていくものだと、改めて感じることもあります。目の前のことに必死になって向かっている状況で、先が見えず、時には不安や心配が頭をよぎりますが、同じ職場で働く仲間がいることが支えになっています。そして、多くの医療現場で働く卒業生を含む仲間もいます。その仲間たちのもとに、胸をはって送り出せる看護師を育てなければと、自らを奮い立たせています。
さて、いよいよ、ゴールデンウィーク明けから遠隔授業を開始します。学校内の環境整備、学生の通信環境調査、学生・保護者への連絡、講師への依頼など、日々、取り組んでいます。今まで通りに出来ないこともありますが、今まで出来なかったことも出来るのではないかということもあります。学生たちが、どのように受け止め、学びを深めてもらえるのか、楽しみでもあります。そのためには、我々が、創意工夫し、「これは、こうしたら良いかも!」、「これは、これをやってみよう!」など、柔軟な思考で取り組む必要があると思います。
新しいことを始めることは、大変な面もありますが、楽しみながら、皆で協力して取り組んでいきたいと思います。「まずはやってみる!そして、振り返って修正すべきところは修正する!」、そんなチャレンジです。とはいえ、大きなミスがないように全体を見渡すことが私に課せられた大きな役割であることを忘れずにいなければと思っています。




              令和2年5月 公立西知多看護専門学校
                     校長 竹内(宮原)晴子


「遠隔授業開始で再認識したこと」

5月7日から遠隔授業を開始しました。Zoomを使用しての双方向リアルタイム配信型授業となります。様々なツールがある中で、何を選択するかということから、検討が始まりました。学生の通信環境に関する調査を実施し、すべての学生がパソコンあるいはスマートフォンを所持していることと、ほとんどの学生が自宅にWi-Fi環境があるということが分かったこともその開始を後押ししてくれる情報となりました。また、大手携帯各社の通信容量増量への支援も後押ししてくれました。
Zoomを活用しての授業は、遠隔授業だから出来ることと遠隔授業だから困難なことを実感することに繋がりました。出来ないと思われることは勿論ありますが、一見出来ないと思われることも工夫次第で「出来ること」に変わることもあります。ですから、敢えて「困難なこと」と表現しました。現状で、「出来ない」と思われることは、「触れて感じること」、「視線を合わせること」、そしてそれらを統合した「人を相手とした実技の練習」です。実は、これは看護にとってとても大切なことなのです。そして、最近の学生が苦手とすることにも重なり、看護教育において我々教員が通常の教育でもその伝え方に苦慮するところでもあります。6月から1・2年生は感染対策を十分にした上での通常授業の開始となります。遠隔では伝えきれなかったところを生身の人間として、いかに伝えていくのか。そして第2波、第3波に備えて、学校内でしか学べないことを優先して授業を組み立てることも考えねばならないと思います。
逆に、遠隔授業だからできること、それは学生全員の理解度を一度に把握することが出来ること、ひとり一人の意見や考えを時間をかけずに集めることが出来ること、などがあります。そして、書画カメラを使ったり、視覚教材をうまく活用したりすることで、講義形式の授業にもメリハリが出来、テキストの使い方やノートの取り方の学びにもなっているのではないかと思っています。我々教員が、授業そのものを見直し、何を伝えたいのか、それを伝えるためにはどう授業を進めると良いのか、など考える機会になったことが大きな収穫ではなかったかと思っています。今、学習を続けている学生に不利益とならないよう、常に見直し、改善していくように、今後も取り組んでまいりたいと思います。




              令和2年6月 公立西知多看護専門学校
                     校長 竹内(宮原)晴子


「息を吹き返した学校」

6月1日から、1・2年生の登校が再開し、22日から3年生もそれに加わりました。静まり返っていた学校が、学生たちの声や笑顔で息を吹き返したように感じています。私たち教員も、学生たちが動き出したのと同時に何となく、ソワソワとし、やっと最近になって、「通常」に戻りつつあるように感じています。
ですが、大きく変わったことは、「3密」を避けるための分散授業、講師の先生のご希望等による遠隔授業、食事場所の指定と感染対策のための清掃の徹底、30分ごとの必要に応じた換気と水分摂取です。その他にも、学生による感染対策チームを立ち上げ、啓蒙活動を実施したり、利用教室への消毒剤の移動をしてもらったりしています。また、図書室の利用時間を通常通りにしたいという申し出により(登校再開時は短時間の利用としていました)、図書委員が人数カードを作成して、同時利用者数の制限のためのシステムを考案してくれました。実に頼もしく思いました。我々教員が主導して、考えた対策よりも学生自らが考えた対策の方が学生たちにとって、より有効な対策になると思うからです。友人の声掛けや努力に応えたいと思う気持ちも嬉しく思います。
いよいよ、実習が始まります。看護学生として、自分の健康管理を徹底し、感染源とならない努力を続けてもらえるようにお願いしています。学生たちが関わる対象は、疾病により抵抗力が低下している方がほとんどです。だからこそ、将来医療者となる看護学生としての自覚をしっかりと持ち、生活してもらいたいと思います。
新しい生活様式の中で、看護をどう伝えるか、私たち教員も様々な角度から問い直し、教育内容を考えなければいけないと思います。多くの課題がありますが、学生と共に成長を続けたいと思っています。




              令和2年7月 公立西知多看護専門学校
                     校長 竹内(宮原)晴子


「実習開始と県の指導調査終了」

この度の九州南部を中心とした豪雨災害により、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。県外からのボランティアの受け入れも困難な中での復興は厳しいものがあると思われます。1日も早く、日常を取り戻されることを願っております。。
さて、当校では、7月6日から2年生の基礎看護学実習2、13日から3年生の精神看護学実習が始まりました。新型コロナウィルスの対策等で大変な状況の中、実習を受け入れてくださっている臨床現場の皆さんに感謝いたします。将来、ともに働く仲間として、より多くの経験をさせてあげたいという思いがあってのことだと思っています。その思いに応えられるよう、実習に出る学生には感染予防行動の徹底、抵抗力の維持のための生活の見直しなど、繰り返し伝えてきました。新規感染者数の増加のニュースが飛び交い、不安がないと言ったら嘘になりますが、学生たちを信頼し、無事、実習を終えることが出来るようにと思います。
そして、実習する学生の陰には、それを支えるご家族がいることも忘れてはならないと思います。学生たちが、実習に集中できるようにとご家族もまた、それぞれの行動に注意してくださっていると感じます。また、学生が受け持つことにご協力いただいている患者さんもいらっしゃいます。新規感染者に若い人が多いという現状において、まさに同世代の若者である学生を受け入れてくださっていることにも感謝します。本当に多くの方の支えがあって、学生たちの実習が成立していると今回はいつにもまして実感しております。だからこそ、貴重な経験、時間を無駄にすることがないように、私たち教員も学生に向き合わねばと思います。
学生が実習に出ている中、学校は、看護師養成所指定規則に基づく県の指導調査を受けました。学校内の設備や備品、多くの書類を見ていただきました。見直すべきところ、努力すべきところにも気づくことができ、良い機会になったと思います。この指導調査を受けるにあたっても、多くの方にご協力いただきました。
様々なことが起こる中であるからこそ、感謝することを忘れずにいたいと思います。また、様々なことがあることで気づくことも多いのだと改めて感じています。



              令和2年8月 公立西知多看護専門学校
                     校長 竹内(宮原)晴子



「暑い夏と学内実習」


今年度は、異例づくめの年度となっています。例年、8月は夏季休暇となりますが、1年生の残っている授業、3年生の学内実習がずっと続いています。私たち教員は、それら授業や実習、9月からの臨地実習や授業の準備、新カリキュラムに向けての検討、高校生対象の学校PR、3年生の就職活動サポート等々、目前のことから少し先のことまで多くの課題に取り組んでおります。
新型コロナウィルスによる影響は大きく、様々な意思決定を迫られることも日常茶飯事です。意思決定が遅れたり、二転三転してしまったり、多くの反省もしました。関わっていただく講師の先生方や学生にも不安やご心配、ご迷惑をおかけしたことが何度もあったと思います。その都度、「最善を尽くす」という意識を持ち、取り組んできましたが、何がいけなかったのかを考えてみました。
まずは、情報収集の不足です。看護専門学校が様々な意思決定をする際に参考とし、指針とするのは、厚生労働省、県の医務課、文部科学省からの情報です。同じ情報が重複して届けられることもありますし、大切な情報が多くの情報の中に入り込んでいることもあります。それらを読み解き、理解し、取捨選択し、優先順位をつけて対応すべきことに対応していく。この時点で、その後の動きの是非や速さが決まります。ここは、私の仕事の重要な部分であると再認識し、今後は今まで以上に意識して取り組もうと考えています。
次に、精神的な「ゆとり」の無さです。様々な問題に対応するため、精神的な「ゆとり」が不足して、短時間で結論を出したことによる後悔もありました。大切な決定は、可能であれば1日待って最終結論を出すようにしたいと思います。走り出したら止まらない性格なので、周囲に止めてくれる人を確保しておくことも大切だと思いました。
最後に、目先のことにとらわれ、「大切にすべきこと」、「大切にしたいこと」にその都度戻ることを失念しがちであることです。周りの情報や社会の流れを掌握することも大切ですが、時には、それに逆らってでも守るべきことがあることを常に念頭に置くということです。そして、固定観念を捨て、目的を達成するための方法を考えるという柔軟性が必要だと思いました。
このような振り返りから学ぶことも多く、半年以上続く試練も学生・教職員と共に前向きに捉え、周囲の方のサポートを受けながら、これからも頑張りたいと思います。



              令和2年9月 公立西知多看護専門学校
                     校長 竹内(宮原)晴子


「植物のお世話から考えたこと」

私は、ちょっと変わったところがあって、いろいろなモノに人生を重ね合わせて考えることが好きです。擬人化することだと思うのですが、そこに時間の概念を加え、一瞬ではなく、そのものが生きているヒトとしての人生を送るとしたら…と考えるのです。例えば、「椅子のような人生ってどんな感じだろう」と考えるのです。「椅子」と言っても様々な椅子があります。その中で、校長室にある応接用の椅子を取り上げたいと思います。校長室に来る様々な人を受け入れ、どんな体格、体重の人でも黙って受け入れます。そして、その人が座っている時間、ジッと耐えるのです。楽しく話している人もいます。泣き出す人もいます。でも、ただ黙って受け入れるのです。誰かが座っているとき、それはそれで大変ですが、誰も座ってくれなければ寂しく思います。長年、過ごしてきたことで、破れたり、ささくれ立ったりしているところもあります。人間でいうならば、皺や傷跡になるでしょうか。ずっと、看護学校の校長室に来られる多くの人を受け入れ続け、歳を重ねてきたということです。
そんなことを考えるのが好きな私が、花壇の花のお世話をしていたときに考えたことです。金魚草です。全体に背が高いのですが、様々な背丈でお花の付き方も様々です。やや頭でっかちな花なので、強い風が吹くと倒れかけてしまいます。気になった私は、添え木をしようと思いました。まず手元にあるもので、割り箸を使いました。ですが、ご想像通り、効果はありません。割り箸もろとも倒れてしまうものは倒れてしまいました。そこで、市販の添え木を使ってみました。最初は、倒れている方向から支えるように添えてみました。駄目でした。次に引っ張る形で添え木を立ててみました。これで見た目に落ち着いた花もありました。ですが、この談話を書くに当たって、調べたところ、恐らくどの方法も間違っていることに気づきました。
この経験から私が考えたこととは、「花たちが学生と似ているかも」と思ったことから始まりました。風に吹かれながら、自由な方向で自由な背丈で育っていたところに、それを気にした「私」が現れて、様々な方法で、何とか、すべての花をまっすぐに日のあたる方向に向かせたいと思ったわけです。もっと早くに関われば良かったのかもしれません。ちゃんとした長さの添え木(サポート)だったら良かったかもしれません。支えたいと思って関わりましたが、引っ張るしかないと思い直し、上手くいった(これを上手くいったというかどうかも問題ですが…)花もありましたが、そうでない花も多くありました。もっときちんと調べて先人の知恵、専門家の知恵を活かして関われば良かったのかもしれません。そして、何より、植物とは異なり、学生とは言語を介して理解し合う努力をすることができるのです。今まで以上に対話、会話することも大切だと思いました。そんなことを考えながら、植物を育てることからも学ぶことは多いなぁと実感しました。
これから学生に関わる時には、まず、私自身の気持ちが良い方向へと、無理矢理、進めようとしていないか、本当に学生一人一人の個性を大切にしながら、なお、看護師として必要なことを伝えようとしているのか、ということを問い直したいと思います。そして、必要な知識を活用して、語り合い、もっとも適切な関わりが出来るように精進していきたいと思います。



              令和2年10月 公立西知多看護専門学校
                     校長 竹内(宮原)晴子


「看護師としての思い出~Part9~」


今回は、救急外来での思い出です。私は、救急外来での仕事が苦手でした。救急外来での仕事を始めたころの私は、内科系の病棟看護しか経験がなく、看護師として、外傷の方や、子どもさん、妊産婦さんなどと関わったことがなかったのです。ですから、どんな方がどんな状態で来られるか分からない救急外来で働くことは不安でしかありませんでした。整形外科で必要とされる処置やその介助、婦人科や口腔外科の特殊な処置・診察台での介助などなど、日々、初めてのことを経験する毎日でした。
「わからないことは聞こう」、「初めてのことは助けてもらおう」と心に決め、患者さんの安全を守ることを第一優先として、ともに働く先輩看護師に幾度となく、助けてもらいました。
そんな私が、ICLSコース*に出会った頃には、看護管理者として救急外来で働くようになっていました。その時には、全体を見て、指示を出すという役割だと強く認識し、働くようになっていました。ICLSコースには、事務局として関わっていたため、インストラクターをしたことはないのですが、多くの救急救命士さんと顔の見える関係を築いたことで救急外来での連携も良くなったと思っています。
ICLSコースに関わっていて良かったと思った出来事を3つ紹介します。ひとつは、医師と二人で状態が不安定な患者さんをCTに案内した際のことです。CTをとっている最中に心肺停止状態になったのです。すぐに除細動器を使用し、何とか一命をとりとめました。もう一つは、救急外来の処置室でのことです。さっきまで話していた患者さんが突然静かになったため、モニターを見ると心室細動**を起こしていました。すぐさま、胸骨圧迫を開始し、仲間を呼び、除細動をかけることができました。この時も患者さんは、一命をとりとめ、目を覚ますと「あ~助かったぁ~」と言われました。そして最後に、救急隊からの連絡を受けるときです。「あ~宮原さん、良かったぁ」と言ってもらえ、お互いの情報共有がスムーズにできるようになったのです。
私は、じっくり考えるタイプで、瞬時の判断が要求される救急外来での仕事が向いているとは正直思えません。ですが、その時、その時で、自分の力と役割を見極め、必要な努力をしつつ、いざとなったら応援を依頼することが出来る、そして仲間と連携する…という力はここでも育まれたと思います。これは、救急場面以外でも当てはまります。どんな場面でも、そこで目指すべき目標に向かって、自分の能力と役割を見極め、必要な努力を惜しまず、仲間と協働するということを続けていきたいと思います。

*突然の心停止に対する最初の10分間の対応と適切なチーム蘇生を習得するための医療従事者向けの蘇生トレーニングコース
**致死性不整脈のひとつで電気的除細動の適応である

              令和2年11月 公立西知多看護専門学校
                     校長 竹内(宮原)晴子



「特別な年の終わり」


いつになったら、「そんなこともあったねぇ」、「あの時は、大変だったけど、あれがあったから良かったこともあったよねぇ」と言える日がくるのかと、思いながら過ごした年も、もう終わろうとしています。いろいろなことがあっても、否応なしに、時は過ぎ、人も生活も変化していくものだと、実感しています。
先日、テレビ番組で「目に見えない敵との闘いによって、目に見えないものの大切さを実感した」という話をされていました。本当にその通りだと思います。この1年弱の間に、「目に見えない敵」と闘ってきたように思います。それは、COVID-19との闘い、そしてそれに伴う「偏見」や「差別」との闘いでもあったと思います。ですが、反対に多くの目に見えないものの大切さも実感しました。今まで以上に、家族との生活や自分自身の生き方を見直すことにも繋がり、音楽や絵画などに心癒されることも多くありました。
どんな経験も無駄にしない…ということが私のモットーですが、それでも「あ~こんな経験したくなかったなぁ」と思うこともしばしばありました。ですが、周囲の人に助けられ、気持ちを共有することで救われました。「これはピンチだ!」と思った時も、多くの人が助けてくれました。学校の仲間、学生、卒業生、母体病院の皆さん、古くからの友人、家族…様々な人との関わりによって多くの難局を乗り越えることができました。そして、病院の第一線で働く卒業生や仲間に思いを馳せることが、感染予防を心がけた日々の生活において、とても大切なことでした。感謝の気持ちを忘れずに、これからも生活していきたいと思います。
皆さんに直接会って、お礼が言いたい、会ってお話ししたい…という気持ちは、もうしばらく我慢して、様々なツールを使って、皆さんと繋がっていきたいと思います。
今年も1年間、ありがとうございました。


              令和2年12月 公立西知多看護専門学校
                     校長 竹内(宮原)晴子


「校長としての7回目の抱負」


皆さん、新年あけましておめでとうございます。今年は特別なお正月を迎えていらっしゃることと思います。この校長談話での新年のご挨拶は7回目となります。こんな時だからこそ、今までの1年の抱負を振り返ってみたいと思います。目指す学校像を抱負として表現していました。

1回目;学生と教職員にとって居心地の良い、刺激のある学校である
2回目;可能性にあふれた学校である
3回目;社会人基礎力と倫理性を兼ね備えた看護師を育成する学校である
4回目;学生の学びをサポートできる学校である
5回目;看護師になる道のりをサポートできる学校である
6回目;皆で同じ方向に向かって、のびやかに日々の学生との関わりを実践できる学校である

抱負として書いてある回とその時の出来事から考えたこととして書いてある回がありました。今年は、抱負として書いてみたいと思います。
2021年度の抱負は、「学生の可能性を信じ、その力を十分発揮できる環境を目指して変化をし続ける学校である」にしたいと思います。看護学校に来て9年目の年になります。気持ちを新たに、今年もチャレンジを続けたいと思います。まずは、2022年度から開始する新カリキュラムの申請に向けた検討を続けます。当校の学生の特徴を踏まえ、地域で必要とされる看護師の育成を目指したいと思います。また、4年目になる学校自己点検・自己評価の内容の見直しと課題の解決に向けた取り組みもしていきたいと思います。日々の講義や実習、学校生活での関わりも丁寧に続けながらの取り組みになります。昨年は、COVID-19により否応なしに変化をせざるを得ない状況に追い込まれましたが、今年は創造的かつ積極的に変化をしていきたいと思います。
コロナ禍の中で、自分たち自身の心身の健康に留意し、教職員一同、協力して頑張っていこうと思います。


              令和3年1月 公立西知多看護専門学校
                     校長 竹内(宮原)晴子


「入試、国家試験の追い込み、実習」

新年早々に一般入学試験がありました。感染予防のため、体育館と視聴覚室を使って実施しました。受験生の皆さんには、寒い中、受験していただくことになって申し訳ない気持ちでいっぱいでしたが、出来る限りの温度管理も行い、何とか無事終えることができました。発熱者や症状がある方がいた場合の対応まで計画していましたが、該当者はおらず、胸をなでおろしました。看護師を目指す皆さんと一緒に学ぶことが出来ることを楽しみにしています。
そして、3年生は国家試験の追い込みに入っています。ほとんどの学生が自家用車での通学であること、学校内の様々な場所で十分に距離を取っていること、健康チェックをして問題のない学生のみであること、実習に出ている学年があることなどから、登校しての学習を一部の学生は続けていました。しかし、緊急事態宣言が再発出されてからは自宅学習に切り替えました。友人が頑張っている姿を見ることができる空間で勉強することが動機づけになる学生もいるため、悩ましいところではありますが感染予防のため致し方ありません。これからも、常に最善を考えて、個別に対応していきたいと思っています。
1年生の生活援助実習が終わりました。緊張しながらも病院での6日間の実習を終えて、多くの学びがあった様子です。我々教員も、これからの指導に繋げていくことができるような、学生個々の特徴が分かったようです。
そして、2年生の領域別実習も開始となりました。これからが本格的な実習です。一部学内実習になりましたが、ひとつひとつ大切に、経験と学びを積み重ねていっていただけるよう、サポートしていきたいと思います。
また、延期となっていた実習も実習先のご理解とご協力のもと、行わせていただいております。大変な状況の中、実習生を受け入れてくださる施設関係者の皆さまに感謝する心を忘れずに、自分の持っている力を十分発揮して、実習に臨むように学生には期待しています。


              令和3年2月 公立西知多看護専門学校
                     校長 竹内(宮原)晴子


「学会準備」

2021年9月25日に開催が決まった第23回日本看護医療学会学術集会の企画メンバーとして、一昨年から活動を開始しました。日にちを決め、計画を立案し始めたところで、COVID-19の渦に巻き込まれました。開催方法をどうするのか、研究活動が困難な状況での研究発表は可能なのか、大災害ともいえる状況において講演にご協力いただける方がいらっしゃるのか、などなど問題は山積していました。オンライン開催にすることを決断し、遅ればせながらも準備を進めている状況です。
テーマは、「地域包括ケアシステムの真価と進化-新型コロナウイルス(COVID-19)との闘いを経験して-」というものです。当校と同じ設置主体である公立西知多総合病院の副院長兼看護局長である植村真美氏が学術集会長を務められます。多くの方にご参加いただき、実りある学術集会にするためには、どうすべきかということを考え続けています。幸いにも、周囲の様々な方のご協力もあり、忙しい中でも、何となくほんわかとした雰囲気で準備を進めることができていることに感謝しています。
このような場面で自分はどのような役割をとるべきか、考えることがよくあります。学術集会長が思い描く学術集会を実現することができるように、その考えを確認しつつ、自分にできるサポートをしていくことだと思っています。随分前に別の学会のお手伝いをしたことがありますが、それぞれの学会の特徴もありますので、同じようにできるわけではありません。何から手をつけて良いのか、分からなくなることもありますが、着実に前進できるようにと心がけています。皆でひとつのことを成し遂げることは楽しいことです。その中で、メンバーの状況を見ながら、自分のすべきことを見極め、その時々で必要な動きが出来るような存在でありたいと思います。終わったときに、「皆でやり遂げられて良かったね」と言えるように、学会当日まで走り抜けたいと思います。そして、カリキュラム改正への対応も学校の仲間と共に、並行して、頑張ります。


              令和3年3月 公立西知多看護専門学校
                     校長 竹内(宮原)晴子